a day in the life

TAKAYA FUJITA PAINTINGS

十一月十九日

こんなにも時間を長く感じたことはない。

一分一秒、気を抜けない緊張状態が約十時間。

 

 

手術室には八時半に向かう。

僕らは七時半に病室に着いて父を見送る準備する。何も言葉が出て来ない自分が悔しかった。

何を言っても軽く感じてしまうと思ったから。父は八時までベッドの机で仕事をしていた。なんでこんな状況でそんなことできるんだよ。仕事で必要な電話番号が書かれたメモを母に渡していた。いよいよ時間がきた。

 

手術室へ入る直前まで見送り、僕は父の肩を叩き「頼むよ」とだけ言った。母はお願い!と。それしか言えなかった。でもそれが全てだから。父は笑顔で頷き振り返ること無く手術室へ向かった。その背中は頼れる親父の背中だった。男らしかった。でも泣いていた。振り向くこと無く。

 

親戚が駆け付けてくれて母も心強かったと思う。特に母の姉さんはずっと傍にいてくれてその明るくてひょうきんなおばちゃんのお陰で沈みそうな空気を軽くしてくれた。

 

十八時頃、看護師に手術室へ呼ばれ執刀医から取り出したモノを見せてもらい症状などの説明を受けた。人の一部を取り出したそのモノはさっきまで親父の一部であったのか、現実味が全くない。単純に親父のことがひどく可哀想でしかたないと思った。と同時に病気の恐怖も感じた。

 そのあと一時間後に集中治療室へ呼ばれ、たくさんのチューブにつながれた父がベッドに寝ていた。その姿を見た瞬間、心がメチャクチャになりそうだった。なんせつい先月まで元気にしてた父の姿を思い出してしまったから。病気になったんだな…。と。ひとまず寝てる父に家族皆で「お疲れさま、頑張ったね!大丈夫だよ!」と声をかけた。まだ集中治療室にいることもあって緊張状態はあるものの、とりあえず手術は乗り越えた。

 

早く目を覚ましてまた直接声をかけてあげたい。

 

これがリアルの出来事なのか未だに実感出来ない。

 

 

 

 

いや〜超リアルな日記になりましたね!